摂食障害への認知行動療法

永田利彦1)

要約:1980年代にオックスフォード大学のChristopher G. Fairburn教授が神経性過食症を対象とした認知行動療法のマニュアルを作成し,多施設無作為割り当て比較試験で有効であることが確認され,現在では,もっとも標準的な神経性過食症への治療法となっている。治療は行動療法を主とする第1段階,認知の修正や問題解決法に取り組みつつ,極端な摂食制限をやめるように取り組む第2段階,効果の維持と再発防止に取り組む第3段階からなる。

しかし,多くの脱落例や無効例があることから,治療動機を高めるために動機付け面接を行ったり,クラスターBパーソナリティ障害を併存した症例への弁証法的行動療法などが取り組まれてきた。最近では,超診断的理論に基づき,摂食障害に直接関連しないが摂食障害を継続させている感情不耐性といった病理をも治療対象にする強化認知行動療法が提案されている。

認知療法研究,1;57─66,2008

キーワード:認知行動療法,神経性過食症,対人関係療法,動機付け面接,超診断的理論

1)大阪市立大学大学院医学研究科神経精神医学